相続税

Q1:基礎控除以下の相続が発生。それでも相続税の申告をした方がいいメリットを教えてください。

nandn_admin

ご相談内容

Q1:相続税申告有無のご相談(50代 主婦)

先日、母が亡くなり相続が発生しました。母の財産それほど多くないため、おそらく私の相続財産は基礎控除額以下になりそうです。妹と2人が相続人です。基礎控除額以下の場合、相続税の申告は不要と聞きました。でも税金のことなので本当に申請しなくていいのか少し不安です。基礎控除額以下でも申告が必要な場合や、申告をした方良いメリットがある場合を教えてください。

ご相談の回答

相続税がゼロになるケースで「申告不要」と即座に言い切れるのは、相続財産が基礎控除額を超えていない場合のみです。申告せず適用できる控除としては、基礎控除、障害者控除、未成年者控除、相次相続控除が挙げられます。一方、申告して適用されるのは「小規模宅地等の特例」「相続税の配偶者控除の特例」などです。特にこの二つは申告してはじめて適用されるので、まずは注意しましょう。また、7年以内の生前贈与加算と相続時精算課税の適用有無、死亡生命保険金の金額も確認した後でないと、本当に基礎控除額以下がわからないはずです。また「相続財産」の財産額の判断基準も相続税法に乗っ取った計算が必要です。

税理士
税理士

申告不要であっても、申告できる状態を整えておくことが大事です。むしろ、申告義務ギリギリならば、申告要件を逆に探し、申告した方がいろいろなことを考えると楽になるはずです。とくに、相続税総額はゼロもしくは半分になる「配偶者控除の特例」を使うためには、未分割であっても「3年以内分割見込書」の提出しておかなければなりません。

主婦Bさん
主婦Bさん

わかりましたが、まずやるべきことってなんでしょうか?

対策

5つ列記します。

  1. 相続人全員、印鑑証明書は遅かれ早かれ必要になりますので、「実印」の登録をしていない人がいたら、印鑑登録を各自の市区町村で行ってください。
  2. 亡くなった時点での現金の確認。これはどんなメモでも良いので、金額と確認日と署名(出来れば複数人)を記載して置いておくと良いです。
  3. 亡くなった日の預金や株式の残高証明書を口座解約前に取っておくことです。通帳が紛失していたら、「預金入出金明細」を銀行に作成してもらうことも考えてください。年金や給与などが振り込まれていたメイン口座については特に大事です。
  4. 土地・建物をもっていたら、まずは、固定資産税納税通知書(例年納付書と合わせて5月ぐらいに送らせて来ます)の「固定資産税評価額」を1.2倍ぐらいしてみてください。ここで間違えがちなのが「固定資産税課税標準額」という金額です。これは違いますので注意が必要です(家屋は1.0倍でもいいのですが、タワマン税制などもありますのであえて多めに見ておいた方がベターです)。
  5. 預金、株式、土地・建物、その他の資産などを足してまずは基礎控除額と比較してみてください。

深堀

むしろ、基礎控除額以下であっても、税務署からの問い合わせや、他の兄弟や親族などから数年後「前回の相続の時、本当はいくらあったの?」というような、急な質問や疑心暗鬼が起こった際、申告書(ベース)を提示すれば解決出来ることも多いので、とりあえず申告書を作成できる状況まで用意することをお勧めいたします。「争族」と言われる相続人間での争いの多くが基礎控除額前後で頻発しています。

また、「自筆遺言書」などが後から出てきて、相続人以外の者が相続財産の遺贈を主張してくるかもしれません。財産を証明すべき相手は、税務署だけではなく、時に家族であったり想定外の人物であることをイメージしておいてください

税理士
税理士

何も無かったことを、資料もない中で証明することほど、大変なことはありません。「敵は本能寺にあり」です。

税理士
税理士

また、なぜ父は(母は)こんなに現預金があったのか??などと、のちの2次相続などで議論になるときに、祖父(祖母)から、このような相続税の申告で相続したお金がありまして、、と説明がスムーズになったケースもあります。

この記事の筆者
二宮眞秀
二宮眞秀
税理士
難解な税務をできるだけわかりやすく解説いたします
記事URLをコピーしました